denimm日誌

雑記帳

我が家の上着事変

小学校は10月が衣替え。
とはいえ、シャツが半袖から長袖になるだけで、
まだ10月中は上着は着ない。

それが、10月の初旬、
とても肌寒い日があり
その日は小学一年生の次男
上着を着せて登校させた。

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次の日は、通常の気温。

上着に袖を通そうとする次男
「今日はシャツだけで行ったら?」
と、声をかけるが
一瞬、手を止めたものの
「やっぱ着る」というので
家を出る時間の3分前に
親子で揉めるほどの事ではないなと思い直し
上着を着た次男を玄関で見送った。

その後の朝も
私と次男は、同じやりとりを繰り返した。

だが、その日は来た。
ある日差しの強かった朝

朝日の当たる
窓辺に近いフローリングの温もりは
素足から外気温の暖かさを伝えてきた。

小学生の制服ルールは
グラデーションが少ない

“寒い時は上着を着せて下さい”

この一点張りなのである。
この気温の今から上着を着ていたのでは
この子はこの冬を越せまい


「Aちゃん(次男)、
 今日は上着脱いで行こうね」

案じた私は、さすがにその日は
疑問符を付けず、
やや命令のニュアンスを入れて彼に告げた。

幸い、朝食やトイレも済ませ
家を出る時間まで10分まだあった。

彼に言い分があるなら聞いてやり
その上で言い諭してやればいいではないか

なぁに、
彼はまだ春から一年生になったばかりの子どもだ
きっと、
先日着てみたらお兄ちゃんになれた気がして
気をよくしたんだろう

そう、愚かな母は高をくくっていた。

「なっ、シャツだけにしよっ」

「……え~、ダメなん?」

「うん、今日、こんなにあったかそうじゃが~」

「う~ん、でも…」

「なっ、そうしよっ」

「……だって…○○くんが…」

「え?何?○○くん?
 ○○くんって
 Aちゃんと同じクラスの?
 ○○くんがどうしたの?」

「うん、△△さんも、やってって言うんじゃ」

「ん?やって??
 やってって何を?」

「斎藤さんだぞ、やってって言うんじゃ」

???斎藤さん?斎藤さんだぞ?











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斎藤さんだぞ
  by トレンディエンジェル


「え?え?Aちゃんが?
 斎藤さんだぞって?学校で?」


私は予想だにしていなかった返事に
思考が追いつかず
迫る登校時間もあって
早口でまくし立てた。

「うん、じゃからお母さん、
 ボクいっつもやってって言われるんじゃから、
 着とかんとダメなの!」

次男はそう言い残し、
今や、ネタ見せ用の衣装となった
上着を着て、玄関を出ていった。



帰ってから、
次男の話しを聞いてやった。

あの日、気まぐれに
かのギャグをやってみたら
思いの外、クラスの子たちに受けたらしい。

一度うけると、何回もやりたがるのは、
子どもあるあるの定番だ。

次の日も
「斎藤さんだぞ」を欲しがる子と
「めっちゃ、オレ笑かしてんじゃん」の快感を欲する子

両者の需要と供給は、完全に一致した。

だが、そんな日もそう長くは続かなかったようだ。
肌寒かったおととい、
次男は上着を着忘れて登校した。
需要がなくなったようだ。

すぐ、飽きる。
これも、子どもあるあるの定番だ。



先日、晩ごはんを作っていると、
主人と次男が何やら、騒がしい。
「お父さん、ちが~う」とか、声も聞こえてくる。

「なに、なに~?母さんもい~れ~て~♪」

と、声のしていた和室を覗くと
スーツ姿の主人に

「ちが~う❗ もっと白目になるんだってば!!
 こう!! 斎藤さんだぞ❗」


次男は主人の
「斎藤さんだぞ」トレーナーになっていた。
しかも、精度の要求までしている。
完成度にはこだわりがあるようだ。


以上が、我が家に起きた上着事変である。


長い文章を最後まで読んで下さったあなた。
優しく、そして根気づよいあなた。
そんなあなたが大好きです。


寝ます。