週末、ふだん車ではよく通る緑道沿いをひとりで歩いた。
子どもの習い事が終わるまでの、気まぐれな退屈しのぎだった。
とっくに時期を過ぎた桜並木は
数日前の桜流しの雨に打たれ、舗道を桜色に染めていた。
わが家は毎年春になると
父のお墓がある四国へフェリーに乗って
お墓参りと兼ねてお花見に行くのが家族の恒例行事だった。
ところが今年は家族の予定が合わず桜の季節を過ぎてしまった。
こちらに理由があろうと待ってはくれない早足の桜。
もう少しそのまま咲いていてくれたらなぁ‥
少しうらめしい気持ちになりそうなわたしが
ふとそばの川に目をやると
桜の花びらが
水の流れに逆らいもせず水面に揺らめいていた。
綺麗だった。
散ってなお、わたしの目を楽しませてくれる健気で儚い花。
桜を惜しむ今の気持ちは
また来年の桜を待ちわびる気持ちを
こうやって育てるのかな。
また、次の季節も。