denimm日誌

雑記帳

なんとなく、気分が落ちている時に開く本

何かが決定的なわけじゃない

立ち直れないほどの悲劇的状況でもない

 

でも、このうつうつした晴れない気持ちが

ひっかかったまま

いつまでも付き纏うあの感じ。

誰しも思い当たる感覚ではないでしょうか。

 

 

何年も前に、何気なく手にとった本「すーちゃん」

我が家が断捨離祭りだった時に

何度も処分対象に上がりましたが

今でも、私の手元にある本です。

 

34歳独身の真面目な「すーちゃん」は

最近失恋した。

勤めるカフェでの働きが認められ

店長にならないかと言われるのだ。

嬉しい気持ちと同時に起こる

自分の未来への不安。

その時にすーちゃんはこう思う。

 

『自分の気持ちが見えてないときに

 

 迷っていることを人に相談はしない

 

 自分の答えが薄まってしまう

 

 自分で迷って考える

 

 そうやってきたから

 

 ずっとそうしてきたことを

 

 正しいと思ってるあたしがいる』

 

 

正しくて合理的な結論は

時にロボットのような

無機質な手触りしか残さない。

 

今はそれより

落ちた気持ちの正体がはっきり見えなくても

輪郭ぐらいはわたしが捉えたい。

迷って考えたい。

 

目的地までの道すがら

悩んだり、落ち込んだりする

わたしは正しいのだと

言ってくれているような気持ちになるのです。

 

 

主人公や登場する女性たちの心の機微が

ありふれた日常の中に溶けています。

そこにあるのは共感。

 

『分かるって、味方って気がする』

 

すーちゃんが呟くシーンがあります。

 

圧倒的な正論よりも

この気持ちはひとりじゃないんだと思えた瞬間が

前向きな気持ちにさせてくれることがあります。



「すーちゃん」のお話でした。


f:id:denimm1222:20170131013723j:image

すーちゃん 益田ミリ

冬幻舎文庫