「子どもが、絵本から受けるそぼくな感動を、うんと大事にしてやってください。」
「えほんのせかいこどものせかい」松岡享子著
日本エディッタースクール出版部
絵本というもの、読み聞かせということについて
輪郭さえ持っていなかったぼんやりとした疑問を持っていたわたしに
答えをくれた本です。
物語や絵本を子どもに読むとき、
純粋に子ども達に喜んでもらいたいという気持ち以外に
この物語から何かしらを学んでほしいという気持ち。
数年前まで私はいわば絵本に
明日のための道徳的役割をも求めていました。
こちらの本は
子どもにとっての絵本の存在がどうあるべきか
なぜ大人側の事情を入れない方がいいのか
分かりやすく、読み手の心に収まりやすい
優しい口調でお書きになっています。
「性急に『あす』に手をのばして、考えることをしいることは、子ども達の感動する能力を弱めるのではないでしょうか。絵本の時代は、『きょう』の時代」
傲慢になりがちな大人のわたしたちに、
とるべき立ち位置を思い起こさせてくれます。
こちらの本にもっと早くに出会いたかった。
小さな子どものお父さん、お母さん
また絵本に関わるすべての人に
一読をお勧めしたい本です。
これほどの良書が図書館で検索すると
書庫にありました。
ということは
一年以上誰にも求められてなかったということ。
多くの出版物がある中、
人の一生で読める本には限りがありますね。
選択肢が増えるほどに、
わたしたち大人の選書力は求められる。
そんなことも感じました。